昭和４５年１１月１８日　月次祭



　今朝からの御理解に、「今迄は参っても尋ねる所がなかった。片便の願い捨てであった」とこう言う。今迄は何処へ参っても、ただ、いわゆるお願いしますお願いしますとお願いをして来るだけ。そしてそれに返事を頂いて来ることも出来ん。いわゆる片便の願い捨てであった。が、ここへ参って来ると、段々お蔭を頂いて、神様がそれに一つ一つご返事を下さる様に御理解を以って諭して下さる。銘々が信心をして、身に徳を受けて身凌ぎをするようになれという御理解でした。
　銘々、身凌ぎが出来るような信心。それには信心して徳を受けてと言うて居られます。ですから信心して徳を受けるということが、身凌ぎの出来るということ。それを今日は、大変、変わった角度から頂きましたが、今晩も又、そういう意味も含まれております、今朝の御理解の意味も含まれておりましょうけれども、折角、信心をさせて頂くのですから、私共が身に徳を受けていって居るなぁという印、私共が身に徳を受けていって居るなと思われる、その事を楽しみにお互い信心させて頂かなければならん。
　その一つとしてですね、向こうが向こうなら、こっちもこっちというような気持ちでは、これは助かっていない証拠です。向こうが向こうならこっちもこっち、これだったら普通です。向こうが根性悪うするなら、こっちはもっと根性悪ういこうと。向こうがこすいならこっちもこすういかにゃ馬鹿らしいという様な事ではです。これはもう元々、これならもう誰でもがそういう考え方を、まぁ私共はして居った。
　ところが段々信心をさせて頂いておかげを分からせて貰い、天地の道理が分からせて貰い、御恩徳を感じさせて貰うて、段々有難うならせて頂いたら、向こうは向こうでも、こちらはね、やはり信心でこちらも向こうが向こうならこっちはこっちというようなものではなくて、やはり、する事は真心であり、信心であるという生き方にならせて頂いて居るということが有難い。信心させて貰うならせめてね、ここの辺のところまでは頂きたいなと云うような事でございます。向こうが向こうならこっちもこっちと。
　先程こちらへ出らせて頂く先生方、共励殿で時間を待たせて頂いて居る時でした。明日は西久留米教会の４０年ですか、４５年かの記念の式年祭が行われる。家もだから、若先生が私の代わりに参ります。記念祭でございますから、信徒会長総代という風にして、お付き合いの御参拝がなされる訳でございます。所が私の方としてはまぁ言うならばです、向こうが向こうならこっちもこっちという生き方で行くならです。
　お参りもして来ては貰わんし、さあ本当は度々こちらはお参りした、その上お初穂までちゃんとさせて頂いて居るのにも関わらず、向こうからはお初穂のお託もないし、という様なまぁ言うならば、この位馬鹿にされた事はないという感じですね。同じ対等な教会と教会で。こちらはお祭りにも奉仕させても貰う、お供えもさせても貰う。向こうからはこちらがお祭りという案内まで差し上げても、それに対する返事もなからなければ、失礼ですけれども、こうして誰も行き手が居らんけんでという言い訳もない。
　勿論、参りもない。だからお参りが出来ませんけん、せめてお初穂だけなっとんと言う所でしょうけれどもお初穂も託てない。今度の秋の御大祭もやっぱりそうだった。だからもうあそこには行かんでもよかばいと言やそれまでなのだ。けども向こうが向こうでも、こっちはやっぱり信心で行きたいとこう思うわけです。だから秋永先生、あんたまぁ何か明日は用があった様でした。
　けどもとにかく総代も誰か行って頂くでしょうし、久留米地区の方達は、あちらへ行って頂かにゃならん。今度は記念祭が続きます。旗崎、北野、それで北野地区の時には又北野の方達に行って貰うから、まぁ久留米地区の方達にも一人でも多くお参りさせて頂いて、おかげを頂いて賑やかにお祭りが出来る様にと、私は思うてそう申させて頂いた訳でございました。私は向こうが向こうならこっちもこっちで行っとったら、絶対現在の合楽は生まれて居らんです。
　まあそれは場合に依っては踏まれても蹴られてもです、やはり信心で縋って行ったです。ですから実を言うたら踏まれ蹴られごたするごたる、その向こうにね御神意がある事を私は知っています。言うなら宝探しの様なもんだ。そこをこっちは呑込んで居りますから、そういう向こうが向こうなら、こっちもこっちという様な事では、馬鹿らしい事まで分かっておる。だから馬鹿らしいだけではいけんから。
　やはり信心でそこの所を、向こうは向こうであろうけれども、こちらはやっぱり信心で、そこを受けさせて頂くという生き方。だからねそれだけでもね、私はまだ足りない様な、馬鹿らしい様な思いがする。もっと思いを込めさせて頂くことはなかろうかと思わせて頂いておったら、最近そのことを思わせて貰いよったら、今日はここに菊のお供えがてあっておりました。その菊に真っ白い菊に今日或方がね。
　福岡から参って来た方が「先生、私の信心がこの菊のように、この白菊のように清らかな清浄な信心にならせて頂くことを願いと思いましてから白菊ばかりを今日は選んでお供えをさせて頂きました」私は、なんかこう胸がドキッとした。ご承知の通り、ここは白い花ばっかりが集まる時には、ろくな事はなか。まぁそんな感じ。そすと片一方はそうじゃない。この白菊のように清浄な、白菊のような清らかな信心にならせて下さいと言うて、それをお供えをされた。
　ですから、上野先生が早速、それを丁度九本来とりましたから、あのうそれを見事にお生花に活け上げておった。私は、ここに座って居ったら、活け直し活け直しと頂いた。丁度、或方が参って来ておりましてね、その方の家族がもう、家族構成が乱れてしまっておる。もう子供でも親父でも、ノイローゼになるごとあると言うて言うお届けがありよった。そしたら活け直し、活け直しと頂いたから。
　私は、上野先生が花を活けろうとしとったから、ははぁありゃ活け直さにゃいけんとばいなと思うてから、すぐ言いにやったんです。ところが実際はこちらじゃった。こちらももう大変おかげを頂いておるけれども、最近、信心がおろそかになっておる家族です。だから家内だけは参って来るけれども、まあ時々参って来るけれども、そういう様なとにかく家族全体、例えば今の願いと云う事、願いよる事は成就せんでもよいから。
　一人一人が立ち行く様に、家庭が円満になる様に、それに対する御理解がね。むつや呉服店ち頂いた。むつやと言う事は家庭が睦まじゅうなる様に、その睦まじゅうなる様なそのおかげを呉れと書いてある、呉服の呉は。
　だから私が言いました。もうあんた家にはね、親父と息子がとか例えば家族が円満に行くようにといって、あんた一人の信心じゃもう駄目だて。だからね行く所まで行ってから、むしろその一人一人がどういう所へ行ってもいいて。そこを出て行く算段出しなさい。親父が何処に行くち言うならやりなさい。そして一人一人がそこから立ち行くおかげを頂かにゃ、とにかくもう活け直さにゃいけんと言うて私は話をした事でした。
　それから私、そのお取次を終わってから早速行きましたら、もう活け上げてしもうてあった。はあ見事に共励殿に入れてあった。これはあんた今日はもう、わざわざ神様にお供えして呉れと言う事であったけん、お供えせにゃいかん。けれども是じゃいかんばい。あの、是は目には見えませんでしたけど、下の方になんかちったこう、何か花がある様にあった紙に包んであったから。
　それを私は紙に包んであるから分からなかったけども、実はあすこに薔薇がやっぱり九本来ておりますと。バラがこもうして分からなかった。そんならその薔薇を根占にしてしてみたけれども、お生花だからどうもいけなかった。そこでとにかくちょいと崩さんの、私がするけんち言うてから、自分で傍に持って来てから、私がいい加減にこうやって入れた。白の菊の花を九本こう入れましてね。
　その中に私がその真っ赤な薔薇をずっと入れる。ここに今お供えしてあった花がそれです。不思議な事ですよね。白だけなら縁起ん悪かちいう感じ。それに赤が入ったら、お目出たいちいう、紅白のおかげ。やはりだからですね、演出も必要ですやはり。けどもまぁこれは演出ち言う訳じゃなく、実際、お供えが来てるんだからね。
　真っ赤な薔薇と白菊が来ている。お供えをされる時にはこの白菊の様にという、白菊だけかと思とったけれども、実際は根元ににこう包んである紙の中だから、分からなかったけれど、薔薇がやっぱり九本真っ赤な赤ばかりが来て居る。だから真っ赤なその薔薇を九本、白菊を九本を一つの壺に入れ上げた。二九、十八になった。今日十八日の月次祭にピッリという感じである。しかも今日のお祭りは、それこそ紅白のめでたい感じであるという事になる。心なしか今日のお供えをご覧になさいませ。
　片一方には「月桂冠」の白があるなら、片一方はあの白かくですかね、「白鶴」ですね、白鶴の真っ赤な燃えるような色の箱が「菊正宗」を中心に、こっちに「月桂冠」こちらに「白鶴」と、紅白の包装箱に、化粧箱に入ったお酒のお供えがしてあった。誰もあれを演出してした訳では無いけれども、神乍らにあの様にお供えがしてある。だから今日は、そういう意味でですね、まあ言うならば紅白のおかげであるという事。
　おかげを頂いてから、私共の幹三郎も段々おかげを頂いてから、昨日あたりまでは、まだきつい模様でしたけれども、今日は非常に気分が落ち着いているというて、一時の御祈念に家内が参って参りましてから申して居ります。もうほんとに、もう皆さんがびっくりされるようにおとなしゅう機嫌ようしておると言うて居ります。おかげを頂いて、ほんとに九分九厘、これが助かったら奇跡だと。
　その前々日には言われておる程しの病人が、おかげを頂いて実際に切開をしてみた所が頭の半分、こう切られる筈じゃったから髪剃ってあった。所が実際に開けてみた所が、ここだけでよかった口からこう。そしてそういう悪質な、こちらが思うておった様な悪質な癌は癌らしいけれどもまだ病名が付かん。まだあの病院が始まってこういう病気が初めてだから病名が付けられない、という様な病気であった。
　やっぱり金光様が仰った様に肉腫ではなくて、内腫だったなとこう思います。そういう、おかげを頂かせて頂いて日一日おかげを頂いて、先程帰って見えたご信者さん方四名あちらに付き添って頂いている。もうそれこそ手取り足取りする様な看護、行き届いた看護をして頂いて居ります。帰ってきてから今晩参って居られます方の話を聞かせて頂きましたら。明日辺りはもう観察室から個室に移されるだろうと。
　又、この抜糸をすることも出来るかも知れんと言うて頂く程しにおかげを頂いて居るという事でございます。ほんとに皆さんのもうそれこそ一心の真を捧げての願いが、その様なおかげになっていって居ります。私は是はほんとに今月のね、「一心の真を捧げて祈る」ということが、もう合楽全体の方達が信心の稽古が実際にそれで出来てきた、また出来て行きよるということが、もう何にも増して有難い事だと思います。
　日に百名からの幹三郎さん、幹三郎ちゃまと言うてお届けがあります。そういう例えば、真心一杯の真を捧げての願いですから、おかげに、まぁいわば、めでたい事になるだろうと思います。まだちったぁじがじがが薔薇の花がねえ、こうやってじがじががありますから、少し位、じがじががあるでしょうけれど、段々その様におかげを頂いて居ります。昨日あたりは、けれどもその、とにかく大体そげんそのおとなしゅう出来とらんという大体は、けれどもよっぽど辛抱強うあんなさるとですじゃろうと言うて。
　看護婦さんでも先生でも仰るそうです。昨日いろんな用件をこうやって、一言、紙切れに書いております。それを家内が昨日のお礼参拝の時に持って来て居りましたが、その中にね、手術の時にはね、ちょっと読んでみましょう。「僕が手術をしている時は、いとなかかと思っていたけど痛かった。小便が出たことを親先生に早く早くと言う、早くお礼を、この事を電話でお願いしとりました。
　そしたらもうすぐおかげを頂いたらしい。だから小便が出たから早く早く親先生にお届けをして呉れという、これも直ぐ、お礼の電話が掛かって参りました。僕が手術が終わって、すぐ気が付いたが、叔母ちゃんも来とったが、手を握って貰うた。と書いてある。須磨代、妹のことでしょう。頑張ります、親先生。」という事。「初めだけは死のごとあった。息されなかった。後は覚えとらん」と書いております。
　いわばもう死のうごとあった程しに一生懸命の、いわば修行させて頂いて、そこを頑張ります親先生とこう言うて居ります。ですから決してその、やはり、こう半分切って、もうこれだけのことも、どうしてこげん入ってただろうかというような肉の塊のようなものが取り除かれたということでございますが。それを取るのですから少々きつくないことのない筈がないですわね。
　けれども、まぁおかげを頂きましてから、今日、今日では、昨日よりも、もう少し楽におかげを頂いて居るということを聞かせて頂きましたが、ほんとに皆さんの、私、今日、丁度、お昼、座らせて頂いたら葉書が来た。それには久留米の教会から、羽犬塚の教会の先生が脳血栓という病気で倒れられて、まだその夢中で休んで居られるということ。いびきだけかきよんなさるそうです。けど何日もいびきかき通しで脳の血管に栓をしたようにですね、止まってしまっておるんだそうです。そういう病気です。
　それから東町と花畑教会の教会長先生が、一人は胃癌一人は直腸癌で病院に行かれて開けられましたけれども、もうこれは手遅れだというので、そのまま、だから家に二人共帰されて居られる。自分達は退院して来たつもりで居られるけれども、実際は両方とも癌で、言うなら死と対決して居られる程しの事だから、お祈り添えをお願いしますという葉書が参りました。
　で、私、それを見せて頂いてすぐ、私は、親教会に丁度井上さんが参って見えて居りましたから、その事をお届けさせて頂いた。もうほんとにその事を真剣に親先生にお取次を願わせて頂いて、あの幹三郎のことを、私は、お礼を申し上げるだけでしたけれど、幹三郎ちゃんはどげな風じゃろうかと言うて、心配して下さいましたけれども、もうとにかくおかげを頂いて居りますと言うて、自分の息子の事はほんとにお礼申し上げる外ないだけでございましたから、お礼を申させて頂いて帰って参りましたけれどね。
　もうほんとにその先生方のね、その三人の先生方の、そういう事が、わざわざ葉書でお祈り添えを願うという葉書が参りました。ですからその事をすぐ親教会にお取次願わせて頂いたんですけれどもね。そういう例えば、様々な難儀な中に、どういう事になって居るであろうか。まあそこそこの教会の事ですから。ところが合楽の場合は、例えば私でもない、私の子供がさぁ大変な今度の病気の事については。
　もう信者を挙げての勢祈念、朝の御祈念は言うに及ばず、一時の御祈念、四時の御祈念、そして夜の御祈念とほんとにしら真剣な、もう息の詰まるような御祈念を皆さんが捧げて下さってある。おかげでねそういうおかげを頂いて居ります。話が大変横道に入りました。どうでも一つお互い信心させて頂くのでございますから、今日はその「身凌ぎの出来る信心」という事。
　折角信心をさせて頂くのですから、身凌ぎが出来る位なおかげを頂きたい。そこで今迄身凌ぎというのは、自分で自分の事だけぐらいは出来るという事。自分が飲みたいと思や、自分で飲めれる。自分が行きたいと思や、自分の足で誰にも頼むことは要らん。買いたいと思や、お金はある。そういう様なです、おかげを頂く事が、私は身凌ぎが出来ると思うて居ったけれども、そういう身凌ぎでは満たされたおかげは無い。
　先程、前講に、今日は、佐田のお婆ちゃんがお話をなさって居られました。先日から、ここから朝参りから帰って、こう塵を焼いて居られたら、新聞配りの少年が二人、お婆しゃんあぶらせて呉れんのと言うて、その火をあぶりに来た。そして二人の少年が、話よるとを横で聞かせて頂いて、まあほんとにこの朝早うから新聞配りなんかをして、と思うて話を聞かせて頂きよったらです。
　「俺はもう十万円貯めた。お前は」「俺は五万円貯めた」ち言うてから、二人の少年が話よった。それを聞かせて頂いて、果たしてこういう新聞配りの様な、その辛い仕事をさせて頂いて、只々お金が貯ることを楽しみに、この人達が育って行ったらどういう事になるであろうかと思うた時に、家の孫達を思うたとこう。家の孫達はおかげを受けて居るなあと。最近ではもう一家を挙げ、親先生この頃では例えばさあ大祭ともなると、今迄は反対の意志を見せて居られたお爺ちゃんまでが先に立って。
　それこそ衣服を改めて、合楽合楽と言うて一家中の者がお参りが出来れるという事は、こげな幸せなことはない。子供達が最近話して居ることはです、もう僕は幹三郎兄ちゃんの為にこげな修行もする、あげな修行もする。三人で朝参りをしようと話し合った。自分のなけなしの金を投げうって、幹三郎ちゃんの事をお願いしようじゃないかと言うて、子供達が三人話し合っておかげを頂いて居る。
　こういう素晴らしい信心を、子供達が何時の間にか体得しておって呉れるということが、こげな有難いことはないというお話をなさって居られました。そのお話を聞かせて頂きながら、ほんとにその通りですから、有難いことだと。そしたら、その後に久富クニカさんがお届けに出て見えましてね、今の佐田のお婆ちゃんのお話を聞かせて頂きよりましたら、御心眼にね、高々指にね
　あの指輪を二本こうやって填めておるところを頂いた。やっぱ、たかたかたかですわね。例えば自慢をする時に、鼻高々と言うでしょうが。しかも一本くらいなら当り前ばってん、これも二本も填めている人なら、もう私は、こげんとば二本も持っとるばのち、言わんばっかりに、こっちだけでなくこっちまでもこう填めちから、ギラギラさせとる人がある、あれは一つの自慢。だからそういう自慢は頂けないけれどもです。
　いわゆるお婆ちゃんの話を頂かせて頂いて居ると、家族中が婆爺だけではない、子供達夫婦だけではない、孫達までが合楽合楽と言うて、信心の勢信心のおかげが頂けて居るということは、もう有難い有難いとこう言うて居られる。そういう有難い、そういう家族が挙げて信心の稽古が出来ることが自慢話に出来る程しに有難いという信心。そこで、ほんなら佐田さん所の、言うならば繁盛振りというものを、それこそ親の代よりも子の代、子の代よりも孫の代に、必ず繁盛して行くだろうと。
　お婆ちゃんはそれを言うて居られます、今日は。孫達の時代になったら今でさえこの位じゃから、孫達の時代になったらどげなおかげを頂くじゃろうかと思うたら楽しみと言うて居られます。しかもその一人一人がですいわゆる身凌ぎの出来れる信心を頂かせて貰う。昨日、ある婦人が参って見えて、まだ一年あまりの信心なのですけれども、もうほんとにおかげを頂いて、私があんまり気に掛からんもんじゃけん、子供達がね。
　お母さんな馬鹿じゃなかかち。嫁さんからでん、あげん馬鹿にされちから腹ん立たんのち言うちから、かえってけしかけられる。けれども腹の立つこつでばしあるのと、けれども子供達の方がかえって腹かいとる。そこにです、自分が一年の信心の間に、助かって行きよる自分が感じられると。身に徳を受けてというのはそういう事なんだ。去年までは、一年前までならこれが腹が立ちよったけれども。
　それこそ向こうが向こうならこっちもこっちという気持ちだったけれども、向こうは向こうでも、こっちは信心を崩さんで進んで行けれるという事が有難い。これが身に徳を受けてという事はそれなんだ。そういう信心が出来て行くという事が、段々身凌ぎの出来る信心になってくる。身凌ぎが出来るという事は、自分で買おうと思えば買える、自分で行こうと思えば行けれる。
　自分の思うことが出来るという事はです、これは必ず、そこには不平不満が出て来る。そこにある物をちょっと取って呉れんのち例えば言うた時に、取って呉んとも腹が立つのである。自分で行けれるんです、そこへ。けどもその、ちょっと取って呉れ、嫌ち言うたら腹かく。だからこういうのはほんとの身凌ぎじゃないち。身凌ぎというのは、いよいよ障子一重がままならぬ人の身であるという自覚とでも申しましょうか。
　今のほんなら、幹三郎じゃないけれども、さぁそのものを言おうと思うても言われない。五体を動かそうと思うても動かせない。けれども四人の看護をしておられる方達がです。それこそ、幹三郎の心が読める程しに、はぁ幹ちゃんが何を欲しいと思いよるなと分かる程しに、もう手取り足取りの中にです。今日なんかは、そげん笑わせると、こん傷口が痛いけん笑わせるなと言うたち、書いたち
　。という程しにおかげを頂いて居る。だから身凌ぎというのはね、もう周囲からこうして、して貰えるとか持ってきて貰えれるというおかげなんです、言うならば。自分には、何にも出来ないという自覚。障子一重がままならぬ人の身であるという自覚。それでいて必要なら必要な物が取って呉れち言うごたる、向こうの方から、ここに集まって来るという程しのおかげを頂くことが身凌ぎの出来る信心だと、今朝の御理解に頂いた。
　今晩は向こうが向こうならこっちもこっちという様な事ではなくて、言うならば、向こうが向こうでも、こちらはやはり真心で、こちらは信心で、日頃稽古させて頂いとる信心を、そこに現して行くという様な信心がです。身凌ぎの出来れる、いわゆる身に徳受けていって居るしるしだと、身に徳を受けてと仰られる。
　遠方の所を、皆がここへ参って来るがと教祖様は呼びかけて居られます。遠方のところをみんな参って来るが、今迄は片便の願い捨てであったろうがと。お願いします頼みますと言うだけであったろうが。ここではそれに対する御返事を頂いて帰れるようにおかげを受けて居る。だからその御返事を御返事として、み教えをみ教えとして、おかげを頂いて行くところからです。身に徳を受けて行くという道が付いてくる。
　そこから言うならば、一年前信心のない間はそれが腹でも立ちよったろうけれども、腹も立たんで済む程しのおかげ。向こうが向こうならこっちもこっちというのではなくて、こちらはそれを、信心で真心で受けて行けれるという、それこそが身に徳を受けて行きよる印なんだ。それが出来て行くということが脇からは、もうお母さんは馬鹿じゃなかのと言われてもです、これの方が幸せだという事
　。そういう幸せなおかげげをですね、私共が感じさせて貰う時に、それがお徳でなくて何であろうか。それが徳なんだ。そこから愈々身凌ぎの出来れるおかげが受けられるようになり、しかも私一人ではなくて子供達も孫達も、その事に一家を挙げて勢信心が出来るという時にです。それがねほんとに有難いと人にも話せれる。それはどんなに鼻を高々と、それこそそげな指輪なら二本、三本填めたちゃ構わん程しのです。
　今日の佐田のお婆ちゃんの話を聞いとって、いっちょん自慢話とは思えなかった。只、そういうおかげを受けて居るということが有難いということであった。けどもそういうおかげをね、有難いと思えれる、それが人に伝えられる、話して行けれる。もうそれこそ又お婆ちゃんの自慢話が始まったのは、子供が信心になって行きます、孫達までが一緒にと言うて行けれる程しのです。私はおかげを頂くことが一番有難いことだ。
　この前のお月次祭にも、そうでしたですね。信者氏子ということをです。私はそういうお互いが信心を頂いてこそ、初めて信者氏子として神様が認めて下さる程しのものだ。親から子に孫に伝わって行って居る。もう家族中が挙げての信心になっていくことが有難い、それが自慢話に出来る程しにです、おかげを頂いて行くおかげを頂かなければいけない。しかもそれが一人一人、身凌ぎの出来る信心に繋がって行くということ。
　それにはどうでも一つ、向こうが向こうならこっちもこっちといった様な根性が、もうかなぐり捨てられて、やはりこちらは日頃頂いている教えを、そこに生かしていけれる様な信心を頂きたいと思うのでございます。今日の御理解の中には、子供のおかげを頂いて居ることも、中にお話をさせて頂きましたが、これで安心という事ではありません。まあだこれでというたことではありません、どうぞ一つお祈り添えをしっかりして頂いて、一心の真を捧げて願わせて頂く信心の稽古をですね、させて頂いておる。
　折角、例ばえ幹三郎が死ぬ程の、いわば修行させて頂いて居るのでございますから。沢山の例えば御信者がです、その事に打ち込んで行かれたということになれば、それはね、例えば、全快して帰って参りましても、僕の苦しかった事が無駄ではなかったということになるのでございます。いわゆる難は御影であるということになっていかねければなりません。どうぞ宜しくお願い致します。
　　　おかげを頂きました。